大野真澄 連載

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第41回“冬は寒くなくてはいけないコト”

2005.2

 大晦日に降った雪のおかげで、久しぶりに雪景色の正月を味わった。物心ついた頃から、18歳で東京に出る迄暮した我が故郷岡崎では、正月をはさんだ年末年始の時期には、必ず一度や二度は雪の降る日があり、積雪があったように記憶しているが定かではない。

 冬は、やはり寒い方が良い。いや寒くなくてはいけない。雪が降らないといけない。田圃や水たまりには氷がはらないといけない。そしてたまには水道の蛇口が凍って回せなくなっていなくてはいけない。土が固くなって霜柱が立ってなければいけない。

 耳や鼻が赤くなって、手はしもやけやあかぎれにならなくてはいけない。股引をはいて、手袋をして、耳あてもしなければいけない。知らないうちに鼻水を垂らして、涙目にならなくてはいけない。一度は風邪をひかなくてはいけない。穴のあいたくつ下は、母に縫い直してもらわなければいけない。

 冷い雨が降っても雪が降っても、どんなに寒くても新聞配達は6時迄に終わらせて、掘り炬燵に体ごともぐり込んで、テレビのニュースを見なければいけない。朝ごはんは生玉子をかけて、みそ汁で流し込むだけでなくてはいけない。いくらいやでも、集団登校をしなくてはいけない。坂の途中で先生に会ったら挨拶をしないといけない。教室にはストーブがないから、窓はきちんと閉めて授業を受けなくてはいけない。休み時間は、おしくらまんじゅうではなくて、馬跳びでなくてはいけない。天下落しではなくて、ドッヂボールでなくてはいけない。竹馬の踏み台の高さは50cm以上でないといけない。キンタマツブシではきちんと地面に線を書かないといけない。遊びは真剣にやらないといけない。

 いくら名古屋近郊に住んでいるといっても、巨人、大鵬、玉子焼きでなくてはいけない。坂本九のファンでなくてはいけない。しかし、たまには「怪傑ハリマオ」を唄う三橋美智世も聴かなくてはいけない。「古城」や「夕やけとんび」は空で唄えなくてはいけない。「白馬童子」が山城新伍だったり「まぼろし探偵」に吉永小百合が出ているのを知ってなければいけない。そして若原一郎の「おーい中村君」や曽根四郎の「若いおまわりさん」や井沢八郎の「あゝ上野駅」なんかも唄ったりしなくてはいけない。

 無関係なことも書かなければいけない。12月1日には、家族で東山動物園に行かなくてはいけない。名古屋の中川区周辺の年賀状配達を経験しなくてはいけない。そしてビートルズを知るのは1月でなくてはならない。ヒット曲を書くのは寒い時期でなくてはいけない。ヒット曲を録音するのも冬でなくてはいけない。そして、ヒットし始めるのも冬のうちでなくてはいけない。北海道のラジオや有線で沢山かからないといけない。色んな人間関係を克服しなくてはいけない。ゆえに雪が降り積って美しく平穏な風景でなくてはいけない。だから大寒は大雪にならなければいけない。

 冬は寒くなくてはいけない。

2007-11-20 17:41:23投稿者 : 大野真澄
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